恋愛優遇は穏便に
「話せないよねえ。じゃあいいきっかけを与えれば、話せるかな?」


そういって、政義さんは席を立ち、部屋を出る。


「政宗さん、隠していたわけじゃなくて、話しにくい内容で」


「そうですか」


と、一言言ったっきり、何も答えてくれなかった。

お待たせと部屋に戻ってきて、政義さんは意地悪な笑みとともに席についた。


「はい、とっておきのクリスマスプレゼント」


といって、ゴトっと音を立てて、テーブルにICレコーダーを置いた。


「兄さん、これ、何?」


「ボクとむつみチャンの秘密がつまったもの」


「政義さん……」


政義さんは私の顔をみながら、指の腹でICレコーダーを弄んでいる。


「政宗に聴かせるだけじゃつまらないと思って。みんなで聴けば納得するかな、って」


「やめてください」


「どうしてですか? むつみさん」


「それは……」


決定的証拠となる録音をこの場で、しかも二人に聴かせるだなんて。


「聴かせたくないよね。こんな場所では絶対に」


「ここには何が収められているんですか、むつみさん」


言葉が出てこない。

私の顔をみながら、再生ボタンを押して聴こうとするなんて。


「ここで決着つける? ボクと付き合うか。政宗にするか。それとも関係を終わりにするかい」


政義さんはニヤニヤと笑いながら迫ってきた。
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