恋愛優遇は穏便に
「政宗さんに隠してしまったことは申し訳ない気持ちでいっぱいです。もしかしたら政宗さんが勘づいていたから、私に近づいてくれてないと思ったら、もっといえなくなってしまって」


「そうですか」


「嫌いになりましたよね。私のこと。こんなだらしない私のこと」


政宗さんは黒縁メガネ越しに鋭い目つきをしていた。


「政宗さんのこと、諦めました」


「じゃあ、もういいんだ。やったね、ボクにチャンスが巡ってきたってことか」


「だから、政義さんのことは好きじゃないって、言ってるじゃないですか」


政義さんはすくっと立ち上がり、私の座る横に歩み寄った。


「さて、宴の始まりといこうか」


政義さんはぐいっと、右腕を強引に引っ張りあげ、私を立たせた。


「は、離してくださいって」


「政宗のこと、諦めたんでしょ。ほら、政宗、黙ってるし」


「政宗さん」


政宗さんは気にするそぶりも見せず、目の前のオードブルを取り、食べ始めていた。


「そういうことなんだよ。もういいんだって」


「離してくださいって」


そう言った瞬間、政義さんが私をお姫様だっこした。


「好きでしょ? こういうこと」


「政義さんやめて。政宗さんっ」


「政宗に思う存分、見せつけてやりなよ」


抵抗しても、政義さんの強く抱き寄せた両腕で身動きが取れない。


「さあ、始めよっか。聖なる夜のお楽しみを」


そういうと、隣の部屋へとゆっくりと進んでいった。
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