恋愛優遇は穏便に
「むつみチャン、おはよう。騙して悪かったね」


「……政義さん」


ダイニングには新聞を広げて、優雅に座る政義さんがいた。

テーブルには昨日のオードブルは片付けられ、代わりにパンやおかずが並んでいた。


「まあ、座って座って」


と、昨日座った席に私も政宗さんも座ると、あたたかいスープやジュース、スクランブルエッグを出してくれた。

あまり昨日は食事をとらなかったので、すべてがおいしく感じられた。

政宗さんもおいしそうにパンを食べている。


「政義さん、朝食ありがとうございます。美味しいです」


「ボクが彼氏だったら毎日でも作るけどね」


「兄さんっ!」


政宗さんが睨みをきかせつつ、政義さんに怒った。


「はいはい、冗談だよ。悪かったね。傷ついたよね。むつみチャン」


「それは……」


私も落ち度があったから、政義さんに言えなかった。

こうなったのも私のせいだから。


「だから嫌だったんだよ。こんなかわいい子を騙すなんて。でも、政宗の策略についていくのに必死だったけど」


「もう結果が出ただからいいでしょ」


政義さんはコーヒーを飲みながら私をやさしい目をしてじっと見ていた。


「仕事の件は本当にむつみチャンにきてほしかったんだ」


「だからダメですよ。兄さん」


「だよなあ。もったいない人材だよ」


仕事のことは本当だったのか、と安心した。

私の態度に政宗さんはちょっとだけすねている。
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