恋愛優遇は穏便に
朝食を取り終え、帰ることになった。

みんなで台所に揃って後片付けをする。

昨夜とはまったく違った光景に、戸惑いを隠しきれないけれど、政義さんや政宗さんの落ち着いた笑顔に囲まれて、ほっとした気持ちでいっぱいだった。

政義さんは玄関前の廊下まで来てくれた。


「政義さん」


「会えなくなるのは寂しいから、また食事会やっちゃおうかな」


「兄さん、もうその計画はないですから」


「そう? じゃあ、次に会えるのは、結婚するときかな」


どきんと、胸を打つ。

さらりと『結婚』というキーワードが出てきた。

政宗さんからはまだその話を聞かされていないのに。


「もちろん、そうなりますね」


横に立っている政宗さんが真面目な顔をして私の顔をみた。


「政宗さん……」


じわじわと政宗さんの想いが伝わってきて、全身が熱くなった。


「じゃあ、次に会うときまでに幸せな二人を見られる前にボクも恋しなくちゃね。失恋には次の恋愛が効くっていうし」


政義さんは私に向けてウィンクをしてきた。

政宗さんが横で呆れた顔をしている。


「それじゃ、お二人、幸せに。むつみチャン、また政宗が悪さしたら相談してね。今度はどうなるかわからないけど」


「政義さん……」


「はいはい、兄さん、そればかりは、どうにもならないんで。それじゃ」


政義さんは軽く手を振り、笑顔で見送られ、私と政宗さんはマンションを後にした。
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