恋愛優遇は穏便に
政宗さんは私をマンションまで送ってくれた。


「送ってくださってありがとうございます」


「またすぐに行きますから。待っててくださいね」


「わかりました」


車から出る前に政宗さんに手を引かれ、手のひらに軽くキスをされた。

部屋に戻り、ほっと胸をなでおろす。

この部屋に帰る前はずっと政宗さんや政義さんのことで不安がいっぱいだったから。

脱衣所へ向かい、昨日きていたニットワンピースを脱ぎ、鏡に自分をさらす。

肌のいたるところに政宗さんがつけた昨夜の夢の跡が散らばっていた。

シャワーを浴び、着替えを済ませると、少し髪の毛が乾かないまま、シャンプーの香りを残した政宗さんが私の部屋へとやってきた。

玄関に入ってすぐに抱きすくめられる。


「今日はここで過ごしたいです」


「いいんですか?」


「もうこれからは互いの家へ行き来することはなくなりますから。むつみさんに包まれていたいんです」


「政宗さん」


「もう怖がらせることはしませんよ。仕事で苛立っていたのもありましたが、むつみさんを抱いたらすぐに気持ちが晴れる」


「政宗さん、本当にごめんなさい。政義さんのこと、ちゃんと話せばよかったのに」


「いいんですよ。僕は。むつみさんが僕を好きでいてくれただけで」


「政宗さん、大好きです」


「僕もですよ、大好きなむつみさん」


ずっと抱き合いながら、私に好きとつぶやいてくれた。

この日が来るのを信じていて、本当によかった。


「あ、涙が。また泣かせてしまいましたね」


長く細い指先で私の涙の雫を拭い去ってくれた。


「ずっと一緒ですからね。今日はずっと裸で過ごしますよ。いいですね?」


「はい」


私と政宗さんはぎゅっとかたく、強く抱きしめあった。
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