恋愛優遇は穏便に
午後になって、受注業務や北野さんからもらった資料の整理の仕事が済むと、高清水さんと手分けして掃除を始めた。

事務室の中の机を拭いたり、給湯室にいってシンクを磨いたり、ロッカー室へいって掃除機をかけたりした。

事務室、給湯室、ロッカー室と廊下をむすぶところに使用していない試作室がある。

もう中は簡単な資料があるのみで、許可なくても入れるようになった。

政宗さんからされたことを思い返したら、体が熱くなってしまった。

掃除を終えて残りの受注発注業務を終えると定時になっていた。

勤務表を書いていると、事務室の外が騒がしかった。


「ただいま戻りました」


珍しく北野さんと政宗さんが帰ってきた。


「おかえりなさい」


私と高清水さんが二人に声をかけると、二人とも軽く頷いて自分の席に座った。


「勤務表の確認、お願いします」


政宗さんに提出して、確認印を押してもらった。


「お疲れ様でした。また来年もよろしくお願いしますね」


「はい。よろしくお願いします」


勤務表を返してもらったとき、政宗さんはちらりといたずらに上目遣いで私を見てきた。

その視線に胸がうずいた。


「みなさんも、今日は定時で上がってくださいね」


はい、と北野さんと高清水さんが答えていた。
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