恋愛優遇は穏便に
一緒になって私の嘘に付き合ってくれていたってことか。

それよりも政宗さんからされたことで、息を整えるので精一杯だった。


「最初から仕組んだ罠にはまってくれましたけど」


そういって、政宗さんが冷酷に笑った。


「すべて僕のシナリオ通りだったわけです。若干違う面も出てきましたけど」


「政義さんからのキス、ですか?」


「ええ。情が移らないようにしたつもりだったんですけどね、兄も男ですから」


「ごめんなさい。少しだけ、政義さんのことを好きになりかけてしまいそうになりました」


「そうですか。そうだと思いました」


そういって、わたしのまだしびれている部分に指をあてがった。


「またこんなにして。ここではなんですから、部屋に戻りましょうか」


指を私から離して、政宗さんは私を抱きかかえた。

足元をふらつかせながらも、会社をあとにし、会社裏にあった政宗さんの新車に乗り込んだ。

会社の周りは人気がなかったけれど、駅方面へと車を走らせるとその周辺に人の波が集中していた。

赤信号で停車したとき、政宗さんが私に目をやった。


「わかっていたんでしょ。僕が研修に行っていたとき、兄に押し倒されたけれど、結果、僕がしてたってこと」


「もしかしたら、と思ってました」


「だから、あんなに、いやらしく鳴いていたんですね」


「そ、そんな」


カラダがまた熱くなる。

政宗さんは私の反応をみて、明るい声で笑う。


「感度のいい持ち主ですね、むつみさんは。ますます気に入りました」


比較的、道が空いていて、あまり信号にひっかからず、政宗さんのマンションの駐車場についた。


「誰にも触らせません。誰にもあげませんから」


政宗さんの横顔は凛々しくてやっぱりカッコいい。

車を出て、足をもつれそうになったけれど、政宗さんは人気もはばからずにお姫様だっこをして、自宅へと連れて帰ってくれた。
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