恋愛優遇は穏便に
テーブルには私が政宗さんに返した鍵が置かれていた。


「結局、合鍵、入りませんでしたね」


と、クスクスと笑った。

ベッドに寝かされると、政宗さんが軽く体重を乗せて私にまたがる。

ベッドサイドのテーブルに白い手提げ袋が置かれていた。


「これ、確か、あのビルのロビーで黒髪の彼女から渡されたものじゃ」


「嫌だなあ。むつみさん、新しい彼女かと思ったんですね。彼女も協力者ですけど」


そういって、政宗さんはネクタイを緩めながら笑っている。


「新規の営業先の営業担当の人で、むつみさんのことを話したら応援するっていって、こういうものがあれば仲良しになれるんじゃないかって」


私から体を離し、白い紙袋をたぐりよせ、中身を取り出す。

中から赤く長いものを私の顔の横に置いた。


「ベルベットの赤いリボンですよ。むつみさんの白い肌にぴったりだ」


そしてまた白い手提げ袋から何かを取り出した。


「これでもつけます? 思い出の目隠し」


手には目隠しで使用した黒のアイマスクがあった。


「それは、もういいですから」


恥ずかしくなって顔を背けると、クスクスと笑いながら、政宗さんはアイマスクをひらひらと私の目の前にちらつかせる。


「使わせてもらいますよ。今晩にでも」


そういって、政宗さんは意地悪な笑顔とともにキスをくれた。




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