恋愛優遇は穏便に
自宅につくと、郡司さんへ電話をかけた。


「今回の仕事の件ですが、よろしくお願いします」


いい返事が聴けてよかったと言い、また必要な書類をまとめて連絡しますと電話を切った。

電話口でほっと胸をなでおろしているであろう郡司さんの姿を想像した。

電話を切り、部屋の静けさが戻る。本当はあんな形でお兄さんと会いたくなかった。

仕事は仕事という公私混同はないと気持ちを切り替える。

それでもあの視線がカラダにまとわりついているようで身震いした。

政宗さんにどうやって説明したらいいんだろう。

明らかに私の軽率な態度でお兄さんとキスしてしまった。

まさかそのお兄さんがこれから私の上司になるなんて。

政宗さんはどういう顔をして私の話を聴いてくれるんだろう。

仕事のことは兄のことだし、自分の会社外でもあるから私にまかせるとして、キスのことは許すわけはないだろうな。

元恋人だった大和に対してだってあんなに嫉妬した目つき、態度で私に荒々しく接していたんだから。

それを考えると政宗さんの態度が変わってもしかしたら……。

言いだせない。

これはやっぱり秘密にしておかないと。

ようやく恋人になれた政宗さんを失いたくないから。
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