恋愛優遇は穏便に
段ボールの中身を片づけると、政義さんがファイリング用のバインダーと穴あけパンチと書類の束を渡してくれた。

グループ会社の会社概要のパンフレットだったり、企画書の一部だったりと多岐にわたっていた。


「つまんない仕事でごめんね」


「いいんですよ。これも仕事ですから」


最初に顔合わせをしたところのテーブルを借りてファイリングをした。

しばらく黙々と作業に没頭していると、気がつけば政義さんの視線に気づき、目があった。


「あの、何か」


「ううん。何でもない」


そういうと、政義さんはパソコン画面に目をうつし、手元にあった書類をみながらキーボードを叩いていた。

ファイリングをしていたら、あっという間に時間が過ぎた。


「もう時間だったね。もう少し時間増やしたいところだけど」


先ほど人材派遣会社でもらった勤務表に日付と時間を記載した。


「確認印かサインお願いします」


すると政義さんはニコリと笑い、勤務表を受けとると、勤務表にサインして渡してくれた。


「むつみチャンの素敵なところ、発見したよ」


銀色の瞳がギラリと光ったように思えた。


「えっ」
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