初恋も二度目なら
・・・いやしかし、いくらだだっ広いお部屋だとはいえ、絵は仕切りがない、すぐ隣の壁にかけられているから、部長に「案内」されなくても、私一人で行けるんだけど・・・すでに部長はついて来ていたので、私はあえて何も言わなかった。


「わぁ・・・」

全体的に淡い色調で描かれたラベンダー畑の絵は、「キレイ」という、ホントにありきたりの言葉しか思い浮かばない。
そして、いつまでも見ていたい、そして見ていると心がホッコリ和む。
私にとってこの絵は、そういう位置づけになった。

「父さんがこれ描いたとき、母さんはちょうど俺らを妊娠してたんだ」
「まぁ、そうですか。あの、お父様って、風景画を主に描かれていたんですか?」
「ああ。国内の風景画を描いてた。母さんの家が父さんのスポンサーになったことが二人出会ったきっかけだが、母さんと出会った頃、すでに父さんはある程度知名度のある画家になってたらしい。史也兄ちゃんが小学生の頃まで、父さんが絵を描く場所へ、家族みんなで行ってたよな?」と部長は言いながら、悠希さんがいる方をクルッとふり向いた。

その拍子に、部長の横顔のラインや、少し出ているのど仏が、すごく間近に見えて・・・私はドギマギしてしまった。

顔、赤くなってないよねっ!?

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