クリアスカイ
再会
週明けはあの猛暑が一転、嘘のようにぐずついた空模様で始まった。
天気予報は連日梅雨明け間近と伝えているが、まだ少し先になりそうな気配だ。

修二は社内の喫煙所でコーヒー片手にぼんやりしていた。昼休みといっても特にすることもないので、いつもこんな感じで時間を潰す。
「お疲れ。」
不意に後ろから声をかけられ、振り向く。
「あ、お疲れ様です。」
長身で色黒の男は「隣、失礼。」といい修二の横に座った。
「浅井さん、会議終わったんすか?」
修二の問掛けに浅井は煙草に火をつけながら頷く。
「思ったより時間くったから、今日は残業だよ。」
「あぁ。。大変っすね。」
浅井は修二の4年先輩の社員だ。社内では一番修二と歳が近いせいか、入社した時から何かと気にかけてくれている、面倒みのいい人間だった。
最近は会議やら出張やらで席を外す事が多いのでこうして休憩時間に顔を合わすのは久しぶりだった。
「最近、忙しそうですね。」
「うん。まったく…もっと合理的にやれたら楽なんだけどなぁ。」
浅井は苦笑いして「どうにも部長がね…」と声のトーンを落とす。
浅井の言いたい事を理解して修二も笑った。

暫く浅井と部長について語り合っていた時、修二の胸ポケットで携帯が震えた。「ちょっと、すいません。」

修二は席をたつと窓際に歩み寄りながら通話ボタンを押した。
「もしもし。」
「うぃーす。俺だけど。」
相変わらずのテンションでアツシの声が響いた。
「どうした?」
「この前言ってた件、今週の金曜で決まったんだけどどう?」
例のプチ同窓会の連絡だった。修二は少し考えて
「多分大丈夫。」
と答えた。
アツシは随分とご機嫌な様子で待ち合わせの場所を説明する。だいたいの見当がついた所で
「あとは須藤に連絡よろしく〜。」
と付け加えた。修二は適当に返事をして電話を切った。
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