ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~



――……俺、今人生で一番勇気を出していると思う。



放課後、今日も一緒に帰ろうとわざわざ俺のところへ来てくれた美咲ちゃんの誘いを断って(明日から一緒に帰るって昨日約束したのに。まじでごめんなさい)


俺は多目的室と呼ばれている教室の入り口でヘラヘラ笑ってる。



ヘラヘラ、は、語弊があるな。うん。


これじゃあ俺がなんか楽しんでるみたいだ。


決してそんなことはないぞ。どっちかっつーと、俺今すげーピンチだから、めちゃくちゃ焦ってるよ!


「はぁ? じゃあ俺らがお前の財布盗んだって言いてぇの?」

「……はは、そ、そうなり、ます……ねぇ……?」


なんかさ、俺、もうちょっと温厚な人多いと思ってたんだ。そんなことないな。めちゃくちゃ怖いもん、この人たち。なにこのオーラ。不良かよ。



ギャハハハとバカでかい笑い声をあげたと思ったら、ふっと顔をしかめて俺を見つめる番長的な人。たぶん先輩。


すんげー怖い。そりゃもう、いかつい顔してますよ。


「冗談にしちゃ笑えねぇなぁ?」


……いや、今笑ってたけどね!!がっつり笑ってましたよ!?


俺見ちゃってたもんね!!


それともネタか!! つっこみ待ちかな!!


「でも、今すごい笑って……」

「あぁ?」

「なんでもないっす」


頑張ってつっこもうとしたのに、ましたよね、まで言わせてもらえずに凄まれて、思わずソッコーで謝った。



ネタじゃないんかいっ!


普通に違ったじゃねぇか!!

やっちまったぜ、俺!
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