ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~
とりあえず、校舎から出ようと走って昇降口まで来ると自分のスニーカーを取り出して、上履きを押し込んだ
「……朝陽くん?」
逃げることを再開しようとしたとき、ふわふわした声が聞こえて、振り返る。
そこには嬉しそうな顔をして俺に近づいてくる美咲ちゃんの姿
「な、んで……?」
俺は美咲ちゃんがなんでここにいるか気になって、走ってあがった息のまま問う。
やべぇ、く、苦しいっ……!
「あ、これ、忘れちゃって……えへへ」
これ、と言って見せてきたものは、可愛らしいケースがついたスマホで
なるほど、と納得した。
意外とおっちょこちょいなのかな。そんなとこも可愛い!(変態みたいだけど、違うからな!)
「朝陽くんは、用事って学校のことだったんだね」
「うん、そう……話し合いの末、今は数十人対俺一人の鬼ごっこになったけどっ」
「鬼ごっこ??」
うん、だよね。意味わかんないよね。ごめんなさい。
「城ヶ崎さん!?」
心のなかで謝罪していると、そんな声が聞こえて
呼ばれた城ヶ崎さんが見つめる先には、番長さんがいた
「あ、井上先輩! 今帰りですか?」
やっぱ番長さんは先輩だったのか
そして、番長さんは井上先輩というらしい。
「えと、まぁ、そんなとこっす」
……先輩のはずなのに、美咲ちゃんには敬語だ。
「今日も一日お疲れさまでした」
美咲ちゃんに、にこっと笑いかけられた番長さんは卒倒しそうな勢いだ。
真っ赤になって震えてる。
こんな人まで虜にしてしまう美咲ちゃん、本当にすごい。