残業しないで帰りなさい!
「大丈夫ですか?……何かヒドイこと言われちゃいました?」
沢口さんはため息をついた。
「そういう勝手なことするなら、あなた明日から来なくていいわよ?バイトなんてすぐにクビ切れるんだから、ですって!人の弱みを握った言い方して、ホント嫌な女!」
「ええーっ!」
たかがお茶出しでクビなんて……、ヒドイ。
「代わりに行ってもらったばっかりに……、本当にごめんなさい」
「ううん、いいのいいの。でもあの人、高野係長に電話してたから今度は高野係長から青山さんに言ってくると思いますよ。なんかあごで使うみたいに高野係長のこと、呼び捨てにしてました」
高野係長を呼び捨て?もしかして、久保田係長の方が年上だったりして?そうは見えないけどなあ。
そう話していた矢先に高野係長がやって来た。
「青山さん、悪いんだけどさ」
みんな同時にバッと高野係長の方を見て睨んだから、高野係長は「おっと……」と言って怯んだ。
「お茶出しですか?」
「……うん。さっき来たでしょ?久保田係長がさ、青山さんじゃないとダメなんだって」
いったいなんで私なのでしょうか?別に私、お茶淹れるのが上手なわけでもないんですけど。
「……わかりました」
仕方なくそう答えて、私はため息をついて立ち上がった。
「いってきます」
心配そうに私を見る二人に苦笑いをしてからうなずいて見せて、4階に向かった。