残業しないで帰りなさい!
「でも、みんなも残ってるし」
私が漏らした不満に対して、課長は目を細めてすぐに言い返してきた。
「みんなが残ってるから君も残業してもいいって言うの?そういうのを惰性でやってるムダな残業って言うんだよ。今は見本市の期間だから、営業は理由があって残ってる。でも、君が今やってる仕事は普通なら時間内に終わって然るべき内容だし、経理と調整すれば明日に回せる仕事だろ」
ううー、一言に対して百倍で返って来た気分。正論だけど、なんか理不尽にも聞こえる……。
だって!
締め日を変えるなんて、私にはできないし!
昨日帰れって言ったのは課長じゃない!
普段の私だったら絶対に言い返したりしなかったと思う。でも、なぜか悔しくてどうしても言い返したくなった。
「私なんかには締め日を変えてもらうことなんてできないし、昨日帰るように言ったのは課長じゃないですか!」
課長も私の反論に対して、間髪入れずに言い返してきた。
「経理だって正当な理由があれば半日くらい締めを伸ばしてくれるし、倒れて怪我をした社員を放っておくわけにはいかないだろ。病院に行かせて何が悪いんだよ!」
「私、病院なんか行かなくても平気でした!」
5針も縫って平気なわけがない。何を言っているんだか。
「つまり今残業してるのは、昨日俺が病院に行かせたせいだって言いたいわけ?」
「そうです!」
強気で睨んで言い返すと、課長は腕を組んだ。ものすごく機嫌の悪い顔で私を見下ろす。