残業しないで帰りなさい!

私が首を振ると、課長はニコッと笑った。

「じゃあ、この間と同じファミレスでいい?」

え……?と思いつつうなずいた。

課長、ファミレス好きなのかな?それとも、あのオムライス狙いか?

でも、この間と一緒でカジュアルな私とスーツの課長は不釣り合いだから、むしろファミレスの方がありがたい。
一度行ってるから勝手もわかるし。

あ……。
もしかしたら。

課長は気を遣ってくれているのかもしれない。私の格好じゃ、おしゃれなお店なんて行けないもの。

そういうこと、なのかな?

「あ!体調は平気?気分悪くない?無理しないで、ダメなら言ってね」

自分で誘っておきながら、急に心配になったらしい。歩きながら不安げに覗き込むから、ちょっとドキドキしながらコクコクとうなずいた。

「……ごめんね」

歩きながらつぶやくように課長が言った。

何のことを謝ってるんだろう。わからなくて私は課長を見上げた。

「さっきはあんなこと言って、ごめん」

もしかして、怒ったことを言ってるのかな?それなら課長は全然悪くない。昨日怪我したばかりなのに残業していた私がいけなかったのに。

「私がいけなかったんです。課長は心配してくださったのに、私の方こそすみませんでした」

「いや、言い過ぎたなあと思ってさ」

「全然!そんなことありません!」

あれのどこが言い過ぎなんだろう。
そんなの甘すぎ!そんなに甘いなんて、管理職としてどうなんですか!

叱るような気持ちで見上げたら課長と目が合った。
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