残業しないで帰りなさい!

もっと触れる表面積を広くしたくて指の腹で触れた時、いきなりギュッと握られたから、電流が走ったみたいにビクッとなって心臓が止まるほど驚いた。

びっくりして反射的に手を引いたけど、その手は強い力で握られたまま。

見上げると、課長は握った手を見つめて困惑したような顔をしていた。

自分で握ったくせに、なぜ困惑した顔?

それよりっ!どうしよう!
私、今、課長に手を握られてる!

手を握られた瞬間、ゾワッと胸が痺れた。今もまだその余韻で胸が痛い。

それは心臓が止まるほど驚いたから?
それとも、キュンとしているの?

だってだって、今、私、好きな人に手を握られてる……。

どうしよう。

オロオロしつつ、握られた手をじっと見た。

……課長の大きな手。私の手がすっぽり包まれてる。握られた質感もやっぱり昨日と同じ。手のひらはぶ厚くて、指は長くてごつごつした質感。そして温かい。

なんか、包まれてる感じ。

少しずつ慣れてきて、肩の力が抜けてきたら、課長は握った手を上下に軽く振って大きな声を出した。

「あーくーしゅっ!」

ハッとした。

……そうでした。これは握手でした。

私ったら、完全に観察モードに入ってました。

されるがまま、上下にブンブン手を振られる。
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