残業しないで帰りなさい!

「それは何のごめんなさい、なの?」

……ん?
課長がおかしなことを聞いてきた。

何のごめんなさい?
5針も縫って全然平気じゃないのに平気です、なんて言ったことじゃないのかな?違うの?

でも、言い返したことも謝りたいし、他にも謝りたいことはたくさんあるかもしれない。

「えっと、いろいろ、です」

「ふーん。じゃあ、俺も、いろいろごめん」

「え?」

なぜ課長もいろいろごめん?さっきも謝ってたのに。
そもそも課長は謝るようなこと、何もしてないと思うけどな。

課長は少し身を乗り出した。

「今日はなに食べる?早く頼んじゃおう?」

そう言いつつ、メニューを見ない課長。もしかして、オムライスと決めている?そんなに好きなの?

私はメニューを開いた。

どうしようかな。

でも、なんか落ち着かなくて、メニューなんか見ている余裕ないよ。

もう、ハンバーグでいいや。写真も大きいし、美味しそうだし。

「決めた?」

私がうなずくと、課長はにっこり笑って呼び出しボタンは押した。

混んでいるわりにすぐやってきた店員さんを見上げる課長。

「俺、オムライスね」

やっぱり!そんなにオムライスが好きなの?飽きないのかな?

「君は?」

「えっと、ハンバーグで」

課長は、おやっという顔をした。

私は課長とは違います!私はそこまでオムライス好きではありません!

飲み物はこの間と同じ温かい紅茶とコーヒー。店員さんは注文を復唱すると、にこやかに去って行った。
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