残業しないで帰りなさい!

この間みたいに、課長がパクッとオムライスを美味しそうに食べるところを見たいなあ。

そんなことを思いながら、じっと様子を見ていたけれど、課長はうつむいたまま、なかなか動かない。

どうしたのかな?
食べよっかって言ったのに……。

課長は小さくため息をついて、それから息を吸った。

なんだろう。

課長をじっと見つめる。

課長も視線を上げて私を見つめた。

目が合っているけど、その瞳からは何も読み取れない。

どうしたのかな?

瞳から意図を読み取ろうと、注意深くじーっと見つめる。

課長はわずかに息を吸うと、目が合ったまま、つぶやくように言った。

「君のことが好きなんだ」

……。

一瞬思考が停止した。



少し視線をずらしてテーブルの角を見る。

課長の言葉が頭の中に戻ってきた。

……君のことが好きなんだ。



目を見開いた。

君のことが好きなんだ?

もう一度バッと視線を課長に戻すと、課長は私をじっと見つめていた。その瞳からは、やっぱり何も読み取れない。

えっ?なに?なに?

まばたきをして首を傾げる。

「空耳?」

思い浮かんだ言葉がそのまま口からすべり落ちた。

それを聞いて、課長は姿勢も表情も全く変えずに息を吸った。

「君のことが好きなんだ」

なっ!?もう一回言った!

また、目を見開く。

そ、そ、それは……、それはどういうことですか?
私のことが好き??

それはいったいどういうことですか?
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