残業しないで帰りなさい!
「配属も同じ横浜支社になって、嬉しかったんだ。でも、今まで話す機会がなかったからさ、気にはなっていたけど、なんとなくそのままになってた」
課長は顔を上げて、まっすぐ私を見た。
「でも、この間君と話したらすごく楽しくて、すごくほっとして、時間すら越えて同じ空気に浸ってるのを感じた。あれだけで?って思うかもしんないけど、でも、すごく惹かれたんだ。引き返せないくらい」
どうしよう……。
すごくドキドキする。
そんなに近くにいるわけじゃないのに、言葉の一つ一つを耳元で囁かれているみたい。
「やっぱり、この人なんだって、思ったんだ」
浅く押し殺したように呼吸をする。
ドキドキと鼓動が大きく響く。
課長がじっと見つめてるのがわかるけど、私はドキドキしすぎて、顔なんて見られない……。
「俺と付き合ってもらえないかな?」
……。
もう、私の思考は限界です。
「君が男嫌いなのをわかってんのに、こんなこと言って、俺、バカみたいだけど、でも、考えてほしいんだ。俺は君が怖がるようなことはしない。泣かせたりしない。……もう、泣かせちゃったけど、もうそんなこと、しないから」
すごく真剣に言っている。課長の心が伝わってくる。
「昨日みたいに他の男が手を出したら、他の男に騙されたらって思ったら、……耐えられないんだ」