残業しないで帰りなさい!

ずっと苦しそうに話していた課長が、少し間をおいてハハッと乾いた声で笑った。

「こんなファミレスで飯を目の前にこんなこと言うなんて、俺は本当にバカだね。もっと眺めのいい所とか、いいレストラン連れてくとか、ちゃんと考えればよかったのにね。ホント、ごめん」

目の前で自嘲するように笑う課長を見ながら、限界点を突破してしまった私の脳みそは全然働かなくて、言葉を発することもできなくて、浅く息をしながら、ただただぼーっとしていた。

「怖くなくても、びっくりしちゃったかな?ごめんね」

さっきから課長、謝ってばかりいる。

確かにびっくりしたけど……。

「ご飯、食べよっか?」

えっ?ご飯……?
そんなのすっかり忘れてた。
とてもじゃないけど、食べ物を口にする気がしない。体も全然動かない。

「食べる気しない?」

「……え、えっと」

課長はため息をついた。

「そうだよね……、こんなに年上なのに、余裕を見せるどころか君を困らせるだけで俺、全然ダメだなあ。ホントごめん」

「……課長は謝ってばかりです」

「あはは、そうだね、ごめん」

また謝ったからおかしくて、フッと笑ったら課長も微笑んだ。
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