残業しないで帰りなさい!

目の前のハンバーグを見つめる。なかなか食べ進まないなあ。

半分も食べてないけど、もう入らない。これでもかなり頑張った方だと思う。こんな状態でモリモリ食べるなんて、ちょっと無理。

「無理に食べなくてもいいよ」

課長が優しい瞳で言ってくれたからうなずいたけど、残すなんて、それはそれでなんかイヤだなあ。

じっとハンバーグを見ていると、課長が身を乗り出した。

「じゃあ食べてあげよっか?」

「えっ?」

オムライス全部食べたのに、食べられるの?
っていうか、どうして私が残すのイヤなの、わかっちゃったのかな?

「それ食べてあげるから、代わりにデザート頼んでいいよ」

「……え?」

「甘い物なら少しは食べれるんじゃないかなあと思ってさ」

……確かに、甘い物なら食べやすいかもしれないけど。

私のハンバーグの皿を自分の方に引き寄せながら微笑む課長。
もしかして課長、ハンバーグを残すのもイヤな人が、残した上にデザートなんて頼まないだろうから、食べてあげるよってこと?

……そんなの私、甘えすぎじゃない?

そういえば、この間も言われたんだ。デザート頼んでいいよって。
あの時は、女の子は甘いものが好きなのかな、なんて言われて、私はかたくなになってしまった。

あの時私、あんなに態度をとったのに、また同じことを言うなんて、どういうつもりなんだろう。

もしかして……。

もしかして課長、わざと私を女の子扱いしているの?
そうやって、俺は君を女の子として扱ってるよって、わざと主張しているの?
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