残業しないで帰りなさい!

昨日課長は、君のことが好きなんだって言ってくれたけど。

課長が私のことを見てくれたのなんて、ほんの一瞬だった。目の前を通り過ぎる車みたいに、あっという間に走り去ってしまった。

昨日すぐに答えを出すべきだった?
すぐ泣いたりして、めんどくさかった?

私が、いけなかったんだ。

私、心のどこかで課長に甘えていたんだと思う。

課長は私のことを好きでいてくれるんだって、心のどこかで甘えてた。

自分が女の子でいることにいっぱいいっぱいになったりして。

でも、人の気持ちなんて、本当にあっという間に変化してしまうんだ。

後悔しても遅いけど。

もう遅いんだけど、でも。

すごく悲しい……。

だって……課長を失ってしまった。

せっかく私を見てくれていたのに。もう私のこと、見てくれないなんて。

あの笑顔が好きだったのに。あの笑い声も大好きだったのに。

もっとそばで見ていかったのに。

すごく、すごく悲しいよ。

せっかくいったん落ち着いたのに、また涙が落ちてきた。

もう!そうやってすぐ泣く!

だからダメなんだよ!

また口で息をして落ち着かせる。

落ち着け落ち着け。
私、落ち着け。

でも……。

考えてみたら、課長が久保田係長とよりを戻したということは、私、課長から「昨日の話はなかったことにしてね」なんて言われちゃったりするのかな。

課長は優しく微笑んでそんなことを言ったりするのかな?

そんなの、……耐えられない。
とてもじゃないけど、耐えられないよ。

どうしよう……。

……そうだ。
私から、……返事をしよう。

せめて私からお断りの返事をしよう。
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