残業しないで帰りなさい!
それでもなんだか不安でしばらく一緒に作業をしていたら、金子さんに「別に一人でも大丈夫です」とクールに言われてしまった。
もしかして、気を遣いすぎてるのかな?
作業自体は問題なさそうだったから「じゃあ、何かわからないことがあったら聞いてくださいね」と言い残して私は自分の仕事に戻ることにした。
まあ、簡単な作業だから、きっと大丈夫。
そう思っても、金子さんの飄々とした雰囲気がなぜか引っかかって、心のどこかで心配しながら営業さんから回ってきた伝票の処理をしていた。
「ちょっとアンタ!これ、違うじゃん!」
突然、白石さんの大きな声が響く。
えっ?なになに?
ギョッとして見ると、白石さんが金子さんの作ったサンプルを手に取っている。
あれ?
私、変なこと教えちゃったのかな?
……ドキドキする。
「何で言われた通りに作んないのよ!」
白石さんが興奮して大きな声を出したから、急いで立ち上がって駆け寄った。
「何があったんですか?」
「だってこの人、ちゃんと組んでないんだもん!」
手に取って見ると、向きも順番もおかしなことになっている。
さっきまでちゃんとやってたのに、どうして……?
「あたしは教えてもらった通りにやってるだけです」
金子さんはふて腐れたように言った。
エエッ!そんなあ……。
ちゃんと教えたつもりだったのに。
何がいけなかったんだろう。
そういえば私が作って渡した見本は?