残業しないで帰りなさい!
……課長、毎回毎回とか女なんてそんなもの、なんて言って、そんなにたくさんの女性とお付き合いしてきたの?
なんかなんか、胸がウズッとする。
でも、10才以上年上の人なんだし、こんなにカッコイイんだから、それは仕方がないのかもしれないけど……。
なんだかすごくモヤモヤする。
せっかく課長が話してくれているのに、別のこと考えたりして申し訳ないけど。
これもヤキモチ、なのかなあ?
課長はモヤモヤする私に気が付くことなく、話を続けた。
「君が王子様って言った時は、正直がっかりしたんだ。君には今までとは違う別の何かを感じてたから、本当に残念だった。だから、ちょっと自棄になってさ、徹底して君の望む王子様になってあげようって思ったんだ。それなのに君は、俺に何も望まないし、俺のことを知りたいって言ってくれた。それってね、すごいことだと思う。そんな人に出会えるなんて、本当にすごいことだよ。俺は君に出会うために一生分の運を使っちゃったんじゃないかな」
「……そんなに、ですか?」
大袈裟だけど、でも、一生分の、とか考えるトコ、私と似てるなあ。
「うん。だって『俺』を知りたいんでしょ?俺に理想の何かを求めるんじゃなくて、俺そのものを知りたいなんてさ。本当に、嬉しいんだ。そんな人、今までいなかったから」
そうなの?
たくさん付き合っても純粋に課長のことを知りたいって思う人、いなかったの?
それは、かっこよすぎるからでしょうか?
王子様のイメージが強すぎるから?
あまりに王子様でカッコイイから、のんびりが許されなかった?
かっこよすぎるのも、ある意味不幸なのかな?
課長は少し首を傾げるように、耳元に顔を寄せた。
「……でも、じゃあさ、君が言ってた王子様って何なの?」
ちょっと不安げな声?