残業しないで帰りなさい!

ふと熱くなった耳に課長の唇を感じてビクッとした。

「君のことが好きだ」

そんな囁き……ドキドキします。
急にどうしたんですか?

ん?
もしかして……、またですか?
もう一度私に好きって言ってほしいんですか?

はいどうぞってされると、むしろ言いづらくなっちゃうのに、さっきから課長は飽きもせずに振ってくる。

でも課長、そのうちまた、さんハイッ!とか言い出しそう。

一度言えたんだから、もう言える?
ドキドキして心臓が飛び出しそう……。

あの瞳を見たらきっと言えなくなっちゃう。
私は課長の肩に顔を隠すように埋めた。

がんばれ、私!
スーッと息を吸った。

「わ、私も……、課長が……す、好きです」

……言えたっ!
すごくドキドキしたけど、言えた!
言えたら結構スッキリした気がしてきた。

「……ありがとう。嬉しいよ」

フッと笑う声が聞こえたと思ったら、課長が片手で私の頭を包み込むように抱き寄せたから、またまたビックリして固まった。

後頭部に課長の手の大きさを感じる。課長の首筋におでこがあたって、ワイシャツに唇が触れて息が止まる。
あの……、ドキドキしすぎて心臓が破裂しそうです。

もう片方の手は腰に巻き付いていて……。今、私たち、もうこれ以上密着できないっていうくらい密着していますよね?

最初の壁ドンなんて、全然たいしたことなかったなあ……。なんて思えるくらい、ぴったりとくっついちゃってますよね?

この短時間で近付きすぎです……。
私、いろいろと麻痺してきました。

今、課長に好きって言えたけど、泣かなかったし。

こんな風に抱き締められるのだって、すごくドキドキするけれど、もうだいぶ平気だし。
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