残業しないで帰りなさい!

「あっ!待って」

ハッとして追いかけようとしたら、白石さんに腕を掴まれた。

「いいよ、あんなのいても迷惑なだけだよ。放っておきな」

「で、でも……」

いきなり帰っちゃうなんて……。

もう、おろおろしちゃってどうしたらいいのかさっぱりわからない。

そこへ高野係長が戻ってきた。

「ん?どうした?」

みんなシンとしてしまったから、私は仕方なく小さな声で状況を説明した。

「……金子さんが辞めるって言って出て行ってしまって」

「エエッ?何それ?」

「……」

私と白石さんが説明すると、高野係長は「ふーん」と言いながら椅子の背もたれにギシッと背を預けた。

「まあ、終わったことはしょうがないけどさ。うーん、困ったねえ。青山さんもさ、初めて指導するからって、ちょっといい気になってたんじゃないの?」

「えっ……?」

そんなつもり、全然なかったのに……。
落ち込んでいた気持ちがさらにドスーンと落ち込んだ。

やっぱり、私が悪かったのかな。

「すみませんでした……」

「青山さんは悪くありません!」

ううっ……。白石さんの言葉に涙が出そう。

「白石さんもいちいち喧嘩売らないの!わかった?」

「えー?だってえ」

「だってじゃない」

「……へーい」

白石さんは口をとがらせて渋々答えた。

はあ……。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
何がいけなかったのかな……。
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