残業しないで帰りなさい!
高野係長が確認のために金子さんに電話をすると「アタシ向いてないんで、辞めます」と一言だけ発して切られたらしい。
「最近の若い女の子は常識ないよねー」
高野係長は盛大なため息をつきながらそう言ったけど、若い女はみんな常識がない、みたいに言われるのってなんか不愉快だな。
そう思っていたら、白石さんがさっそく「そういうの、若い女とか関係ありませんから!」と頼もしいツッコミを入れていた。
ちょっとスッキリ。
白石さんは見た目はふんわり可愛らしい感じなのに、言いたいことをガンガン言う。
見ている方はハラハラしてしまうけど、言いたいこともろくに言えない私にとって、白石さんは正義の味方。
もちろん、今回みたいに言い過ぎて困ることも多々あるけど。
今日の伝票の処理は定時にきっちり終わったけれど、そのまま帰る気にはなれなかった。
金子さんにやってもらう予定だったサンプルの封入をやってしまおうかな。
落ち込んでいたのもあって、ちょっと自虐的になっていたのかもしれない。
白石さんには「明日にしなよー」と言われたけれど、このサンプルは明日の午後いちで使うから、明日の午前中には仕上げないといけない。やっぱり今日中に終わらせておきたいな。
そう考えて「やっちゃいます」とにっこり答えた。
白石さんは心配そうな顔をして「手伝えなくてごめんねえ」と言い、高野係長は「あんまり遅くまで残るなよ」と言い残して帰って行った。