残業しないで帰りなさい!
先輩方も6時には次々と帰り、最後の人も7時前には帰ってしまった。
また、急に広く感じるフロアで一人黙々と作業をする。
一人きりになるとやたら音が響いて聞こえるのは気のせいだろうか。セロテープをビッと切る音が妙に響いて聞こえる。
組んで詰めて、組んで詰めて……。
ただひたすら黙々と組んで詰めての繰り返し。
封入作業みたいな単純作業って、やってるうちにだんだん何も考えなくなって無になれる。
だからこういう作業は嫌いじゃない。
仕事を気分転換にするっていうのもどうかと思うけど、たまにやる分には好きだなあ。
特に今日みたいに落ち込んだ日はいいのかもしれない。
組んで詰める作業が全部終わって、段ボールに入れ始めた頃にはもう8時になっていた。
今日も遅くなっちゃったな。作業はあともう少し。
でも、見回りは9時だからまだ大丈夫。
そんなことを思いながら、作ったサンプルを急いで段ボールに入れていたら、いきなり入口の扉がバンッと開いた。
突然のことにびっくりして振り向くと、神経質そうな目つきの鋭い男の人が立っていた。
え?誰?
何か用?
神経質そうなその人は、眼鏡の奥の鋭い目をもっと細めて睨んできた。
「その作業は残業に値する仕事なのか?」
「え?」
いきなり、何?