残業しないで帰りなさい!
「私はね、愛はなくても情はあるの!だから安心して」
優香さんはサッパリした表情でそう言った。
優香さんのその表情を見たら、優香さんが本気で私と一緒に暮らそうとしていることを感じて、急に涙がボロボロこぼれてきた。
1年しか一緒に過ごしていない、よく知らない優香さんという女の人と二人で暮らしていくことと、知らない施設に預けられること、そんなに違いはないように思っていたけれど、本当は私、すごく不安だったんだ。
覚悟を決めたつもりでいたけれど、不安で不安でどうしようもなくて、少しでも知っている優香さんにしがみ付きたかったのに、その気持ちを自分に隠していただけだったんだ。
だから、優香さんに安心しなって言われたら、緊張の糸が切れたみたいになって、ボロボロ涙が落ちてきたんだと思う。
その後、私と優香さんは二人で暮らした。
優香さんはもともと働いていたし、お父さんが残してくれたお金があるから、お金の心配はしないでねー、と優香さんは口癖のように言っていた。
私たちは喧嘩をすることもなく、それなりに仲良く暮らしていたと思う。優香さんはあっけらかんとした人で、二人での暮らしはむしろ楽しかった。
そして2年が過ぎた頃、私が中学2年生の時に優香さんは再婚することになった。
相手の方は公務員で、優香さんよりかなり年上の人。
その時また思った。
今度こそ覚悟しないといけない。