残業しないで帰りなさい!

「生き別れだなんて、大げさだなあ」

「でも、そういうことじゃん」

「まあねえ」

どういうことなんだろう。
私が首を傾げると、遊馬さんはお菓子が乗った皿とグラスをテーブルに並べながら説明してくれた。

「俺たちの両親が別れた時、兄貴は親父に、俺はお袋に引き取られたんだよ」

「俺が小3で、遊馬が小1だったかな。それから会うことはなかったんだけど、10年前だよね?実の母親の葬式ん時に久しぶりに会ったんだ」

あ、翔太くんのお母さんも、もう亡くなられてるんだ。

「最初見た時は、兄貴が俺とすっげー似てるから思わず笑っちゃったよ。葬式だってのにさ」

「あはは、そうそう。まあ、それからの付き合いだね。特に遊馬が店を出してからちょくちょく来るようになったかな。俺もちょうど横浜の勤務になったし」

そうだったんだ。
なんか、とっても仲が良さそう。離れていたから尚更なのかな。

こんな風に弟さんに会わせてもらえるなんて、すごく嬉しい。

遊馬さんは私を覗き込んでにっこり笑った。

「香奈ちゃん?年いくつ?」

「えっと、24です」

「へえ?兄貴は俺と真逆だね?こんな若い子を捕まえるなんて、犯罪だよ」

「犯罪だなんて、いやだなあ」

翔太くんは笑いながら肩をすくめた。
真逆ってなんだろう?さっきの女性、遊馬さんより年上なのかな?
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