残業しないで帰りなさい!
「私、ワインを飲むのは初めてです」
「そうなの?じゃあ、これを普通のワインとは思わない方がいいよ。たくさん飲むようなもんじゃないし、すごく甘いから。これはデザートだね」
「はあ……」
そうなんだ。
翔太くんがこちらにグラスを傾けたから、恐る恐るそっとグラスを当てたら小さくカチッと音がした。
ワインを飲むなんて、それだけでも大人だなあって思うのに、グラスを合わせるなんて、なんだかとってもドキドキしてしまう。
そして何より、グラスを傾けて私に微笑みかけるその瞳、甘すぎます。ロウソクの灯りに揺らめいて、糖度が上がりっぱなしです。
その瞳を見ただけで、私はクラクラしてしまうのです……。
翔太くんが一口ワインを飲んだから、私もグラスに口を付けてみた。
大きいグラスって飲みにくいなあ。
舌に流れ込んできたワインはとろっとしていて本当にすごく甘くて、やっぱりフルーツの強い香りがした。
うんうん、美味しい。
すっごく甘くて。
あっ、これ!すごく美味しい!
「これ、美味しいですっ!」
「そう?良かった」
あまりに美味しくて、入れてもらったワインはすぐに飲んでしまった。
「もう少し飲む?」
うなずいたら、さっきと同じくらいの量を翔太くんが注いでくれた。
「香奈ちゃん、本当に甘いものが好きだね」
私はうなずいた。その通りです。
私は甘いものが好き。
このワインも甘くて大好き。本当にデザートのワイン。