残業しないで帰りなさい!

船が動き出してから山下公園までは、だいたい15分くらいで着いてしまった。それはもう直行便ですから、あっという間なわけです。

「恐ろしく早く着いちゃったなあ」

ちょっと不満げに船を降りる翔太くん。

「直行便でしたからね」

「フフフッ、罰ゲーム!」

しまった……。
そんな風にビシッと指をさされるとなんか悔しい。

「あー、もうっ!」

「もはや何回目かわかんなくなっちゃったよ」

「4回目……」

「おっ、ちゃんと数えてたんだ?」

いったいどんな罰ゲームをするのやら。

「……罰ゲームって何するか決めた?」

「考え中」

「えー?」

もうっ!それ本当なのかなあ。
本当は何も考えてないんじゃないの?
罰ゲームなんて、するつもりなかったりして?
それならそれでいいんだけど。

船を降りたら、外はもうすっかり夜の景色になっていた。

船に乗る前に並んでいた時はまだ夕方で、少し明るかった気がするけど、もう完全に暗くなってしまった。

「おー、山下公園!こんな感じなんだ。思ってたより広いなあ」

翔太くん、船を降りてもまだはしゃいでる。

「初めて来るの?」

「うん」

そうなんだ。ちょっと意外。

山下公園ってデートで来るような所ってイメージがあるけど、翔太くん、今までどんなデートをしていたんだろう?
公園なんて来ないで、もっとずっと大人なデートをしていたのかな?

なんて……、またそんなことを考えてしまう。
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