残業しないで帰りなさい!

キス以上はしません?
つまり、そーゆーことはしませんよって言ってるのかな?

瑞穂が前に、男が何もしないって言ってしなかったためしがない言ってた気がするけど……。

……いえ、あの、嫌なわけじゃないのです。

わけがわからないと言いますか、心の準備ができてないと言いますか、要するに何も考えていなかった私がいけないのであります。

翔太くんは少し困ったように微笑んだ。

「俺は君とゆっくり一緒にいたいだけ。だから連れて帰りたい。ダメ?」

「えっと、ダメってわけじゃないけど……」

「よし!じゃあ、帰ろっ」

ぴょんっと立ち上がると、翔太くんは手を引いて私を立ち上がらせた。

「ねえねえ、中華街で肉まん買って帰ろう?」

翔太くんは私の手を引いて、明らかにはしゃいだ様子で振り返った。

このはしゃぎっぷり……。この人、本当に何もしないんだろうか?
いや、この人になら何かされても私は構わないけど。
ただその何かがよくわかっていないだけで。

結局、山下公園から歩いて中華街まで行って、「すごい人混みだねえ」なんて言いながら賑わっているお店を見つけてお土産用の肉まんを買うと、翔太くんはパッとタクシーを捕まえた。

そして、タクシーに乗せられておろおろしているうちに、もうあっという間に翔太くんの家に着いてしまった。

なんか、機敏です……。
のんびりしたいつもの翔太くんとはちょっと違う。

ぼーっとしちゃって状況についていけない私。

翔太くんの住んでいるマンションを見上げる。
私のアパートと違って大きいなあ。
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