残業しないで帰りなさい!

「君が大好きだ」

ん?
もしかしてまた繰り返すの?

「……しつこいよ?」

思わず二人でクスッと笑ってしまった。

「俺、しつこいから」

翔太くんが真剣な瞳でそう言ってからしたキスは、すごくすごく大人のキスだった。
翻弄されて夢中になって溺れたみたいで。
息の仕方も忘れて、必死になってしがみ付くことしかできない。

最後、名残惜しそうにチュッとついばんで離れたから、目を開けて見上げると、その瞳は煮詰まったカラメルみたいに甘くて、意識が朦朧とする。

「甘いなあ、クッキー味」

「……煙草味」

「……」

あ、落ち込んじゃった?

「……悪いけど、我慢してっ」

ぎゅうっと強く抱き寄せられてまた重なる唇。
食むようなキス。

それから何度も何度も吐息が漏れるようなキスをした。

一度唇が離れても、目が合うと吸い寄せられるようにくっついてしまう。罰ゲームの回数なんてとっくに超えて、数えきれないくらいキスをした。

唇が離れてからも腕の中に閉じ込められて、胸に耳をあててずっと心臓の音を聞いた。

閉じ込められるように抱き締められるのはすごく心地いい。言葉だけじゃなく、キスだけじゃなく、好きだって想いが伝わってくる。

嬉しくて胸に頬を寄せるともっと強く抱き締めてくるから、もっともっとすり寄せたら「香奈ちゃん、ゴシゴシしすぎ」って言われたのがなぜかおかしくて、二人でクスクス笑った。
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