残業しないで帰りなさい!

「そういえば、昨日入ったバイトの子、昨日のうちに辞めちゃったんだって?」

ああ!その話はまだ心が痛い。もうお耳に入ってるんですね?そりゃあ、人事課長だもんね?

「えっと、はい。……私がいけなかったんです」

藤崎課長は手を止めて私を見た。

「どうして?」

自虐的に自分で自分が悪かったと言っておきながら、どうしてと聞かれてしまうと答えるのはなんだかキツイ。

作業の手を止めたらいろいろと思い出してしまいそうな気がして、手を止めずにうつむいたまま昨日の説明をした。

「私が教える立場だったのに、うまく教えられなかったからです」

「んー?なんかよくわかんないなあ。別にうまく教えられなかったからって辞めることには繋がらないんじゃないの?」

藤崎課長はじっと私を見ている。

「そうなんですけど……」

「何を教えたの?」

「こういう感じにサンプルを組む作業です」

「で?」

「で?えっと、見本を渡して同じように組んでくださいってお願いして、しばらく一緒に作業をしていたんですけど、大丈夫そうだったので、私、自分の仕事に戻ってしまったから」

「ん?うん、それで?」

「戻ってしまったから……、私がいけなかったのかなって……」
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