残業しないで帰りなさい!

「まあ、運が悪かったというか人選が悪かったのかな。採用を高野に任せちゃったのが良くなかったのかもね」

あ、高野係長を呼び捨て……。そっか、この人高野係長より上の立場の人なんだっけ。

のんびりした雰囲気だからすっかり身近に感じちゃってたけど、本当は私なんかよりもずっと年上で立場も上で、雲の人のなんだ。

「そういう意味では元凶は俺にあるんだなあ。ごめんね」

藤崎課長は少し寂しそうな笑顔をした。

「いえ!そんな、とんでもありません」

「今度は俺がいい人を選んであげる」

「えっ?でも……」

選んであげるなんて言われても……。また同じようなことにならないかな。新しい人が来るって思うだけですごいストレスを感じてしまう。

私の不安を読んだように、藤崎課長はにっこり笑った。

「大丈夫だよ。まあ、人間だから働いてみないとわからない部分はあるけどさ、社会人としての常識があるかないかくらいは見分けられるつもりだから」

「はあ……」

「いずれにしても、支援係は今負担が大きくなってるから、短期で人を入れる必要があると判断したんだけどね。君だって連日残ってるでしょ?」

「え?」

何で知ってるんだろう。

驚いた顔をすると、藤崎課長は袋をトントンッと揃えながらフッと笑った。

「俺はいちおう横浜支社全社員の勤務状況を知る立場にあるからねえ、そのくらいは知ってるよ」

え!そうなの!?

横浜支社って70人くらいは社員がいるけど、全員把握してるの?でも、私なんかの残業のことも把握してるっていうことは、そういうことだよね。……すごいなあ。
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