残業しないで帰りなさい!

かなり緊張しているけれど、想像していたよりは落ち着いて対処しているな、私。なんたってファミレスだし。お洒落なお店とかじゃなくて本当に良かった。

「決めた?」

「はい」

メニューは渡されたけれど、メニューの表紙に写真が出ていたオムライスに目を奪われてしまって、オムライスを頼むことしか考えていなかった。

本当は、なんとなくメニューをめくりながら、スイーツのページにちょっと惹かれてしまったけれど、甘いものを食べたいなんてまた『女の子』って思われるんじゃないかと思って、そのページは見なかったことにして急いでパタリとメニューを閉じた。

藤崎課長がベルを押すと、店員さんはすぐにやって来た。

「俺、オムライスね」

「え?」

驚いて固まってしまった。どうしよう。先に言われてしまった……。同じもの頼んでもいいのかな。

「どうしたの?」

「え?えっと……」

「あ、もしかして!君もオムライスにしようと思ってた?」

「あっ、……はい」

「別に同じものでもいいんじゃない?飲み物は何?」

「えっと、じゃあ温かい紅茶で」

同じメニューを頼もうとしていたことがバレてしまった。私が考えていること、時々読まれちゃうみたいなんだよなあ。

まあ、ずっと年上だもんね。私の思考回路なんて、ちょろいもんなのかな。

「じゃあ、オムライス2つね。飲み物はコーヒーと紅茶、温かいヤツで」

藤崎課長は店員さんにオーダーをすると、私をじっと見た。
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