残業しないで帰りなさい!
それって私が王子様って言ったと勘違いして、自分を王子様扱いして自滅したってこと?
それは……痛いかも。
確かに何度も自分のこと『王子』って連発してたもんね?いい大人が、自分のことを王子って言うのは恥ずかしいよね……。
少し赤くなって顔をそむけている藤崎課長を見たら、悪いけどおかしくて、クスッと笑ってしまった。
それを見て、藤崎課長は私に微笑みかけた。
「笑ってくれたね?」
「え?」
何?その落ち着いた微笑み……。
「君が笑ってくれて、良かったなあと思って」
「……」
あれっ?自滅したんじゃないの?
もしかして、私を笑わせるためにわざと自滅したふりをしたの?
そうなの?
……この人やっぱりずっと年上の大人なんだ。私には思考回路が全然読めない。
ちょっと唖然として見つめてしまった。
「恥ずかしい勘違いのついでに言うとさ、俺、スポーツとか全然やったことないから」
「は?」
今度は何?話の内容が唐突すぎる。なぜ急にスポーツ?
それに、スポーツをやったことがないことの、どこが恥ずかしい勘違いなのか、全然わからない。
「背が高いと体育会系と勘違いされてよく言われるんだよ、何部だったんですか?何のスポーツやってたんですか?って」
「あっ!わかります、それ!」
それはすごくよくわかる!私もよく言われるから。
「君も言われる?」
「はい、よく言われます。バスケ部かバレー部だったでしょ?って」
「あはは、そうそう!」
藤崎課長は嬉しそうに笑った。