残業しないで帰りなさい!
それにしても、似たような理由で楽器を受け持っていたとは……。背が高いと似たような境遇になるのかな。
部活の話なんて、いつ以来だろう。
なんだかすごく懐かしい。
「課長も自主練でバズィングとか、やりましたか?」
「おー、やったやった!マウスピースだけで音出すヤツね!」
「金管楽器だと必須でしたよね」
「そうそう、そうだったねえ。あー、なんか遠い記憶だけど、フツフツと思い出してきたよ。『自主練』とかって、響きが懐かしいなあ」
藤崎課長はご機嫌な顔をした。
「俺の学校ってさ、腹筋とか階段の走り込みとか、筋トレをずいぶんやらされた気がするんだよねえ」
「私の学校でもありましたよ、筋トレ。腹筋とか腕立てとか階段ダッシュとか。筋トレはどの学校でもやってるんじゃないんですか?」
「そーなの?やっぱ、そーなんだ?なんか筋トレばっかりやらされてたからさ、これって文化部じゃなくね?ってよく思ってたんだ」
「まあ、吹部の筋トレは基本ですからね」
「そっかそっか。そうだよねえ」
フフフッと楽しそうな藤崎課長。高校生の頃の藤崎課長……。きっとモテたんだろうなあ。
「吹部って女子が多いから、課長はモテたんじゃないんですか?」
「はあ?全然だよ!女子が多かったのは確かだけどさ、男子なんて楽器運び要員くらいにしか思われてなかったし」
「あはは、そういえばそうでした!」