残業しないで帰りなさい!
扉の所に立っていたのは、警備員さんではなくスーツを着た背の高い男の人だった。
なんだか眠そう?ネクタイも緩めてるし、懐中電灯で肩を叩いたりしてちょっとやる気のない感じ。
でも、やる気がなさそうなわりに整った顔をしてる。
あれ……?
ちょっとだけ、カッコイイかも?
いつもはそんなこと思わないんだけどな。もしかして私、疲れてるのかな?
その人にじっと見つめられ、私もそのまま見入ってしまった。
「仕事、まだ終わんない?」
じっと見ていたら、その人が急に口を開いたからまたビクッとした。
「い、いえ!もう終わって今帰るところです」
「あ、そーなの?なら良かった」
「?」
なんだろう?この人誰?いったい何しに来たんだろう。
「終わったんなら、さっさと帰んなさい」
「……はい」
訝しげにうなずきながら、その人の首から下げたネームプレートをチラッと見た。
『人事課長 藤崎翔太』
「!」
人事の藤崎課長?
もしかしてこの人、例のうたたね王子?
思わずバッと見上げた。