○○するお話【中編つめあわせ】
他の街の近状報告と書かれた紙を捲り、その下に隠しておいた文章に目を通す。
意思操作をした使用人に調べさせた、麗がこれまで育ったきた経緯、麗に関係した人間。
この街にくるまでの麗に移転履歴はない。どうやらひとつの場所で育ったらしい。
街の名前は聞いた事があり、ここからそう遠くはない。半日もあれば往復できる距離だった。
そして、麗を育てた……もとい、あんな風になるまで絶望を押し付けた人間は。
「……こいつか」
ぴん、と弾いた指でひとつの名前を弾く。
この一週間、麗に何度か聞いても答えなかった。
俺に慣れないせいもあるのかもしれないが……この問いを向けた時だけ瞳にもれる恐怖に近い戸惑いを見る限り、それだけじゃないんだろうと思う。
じょじょに希望を奪われていく様子は、この身を持って知りすぎるくらいに知っている。
それを目の当たりにして楽しんでさえきたっていうのに。
今までそうやって数えきれないほどの人間から希望を奪ってきたっていうのに。
麗からそれを奪ったヤツを腹立たしく思うのは、俺がそうできなかったからってだけなのか。
おいしいとこ持っていきやがってという、そんなわがままからくるモンなのか。
でもまぁそうなんだろうとさっさと片付け、「さてと」と立ち上がる。
「じっくり奪ってやりますかね。こいつの希望を」
コツコツと足音を響かせ、屋敷を出た。