○○するお話【中編つめあわせ】
麗が俺にこんな風に毒舌を発揮するようになったのは、会って割と初めの方。
初めて会った時からトゲトゲした話し方だなーとは感じていたものの、ここまでだとは思っていなかったから正直驚いた。
でも、何気ない会話の中に入り込む『私なんか』『どうせ』というような自己否定に近い言葉を聞く度に、ああ、と、その性格に納得がいった。
意思なんて持たないように押し付けられてきたんだから、その経緯を思えば当然だと。
その度怒りが襲ってきたりもしたわけだが、残念ながら怒りの矛先はもういない。
いるっちゃいるけど、記憶操作と意思操作の合わせ技で人格ごと変えてきたからもうあいつは別人だ。
おかげで、そこから二週間アキラから逃げ回る事になったけれど、まぁ処置としては最善だったと思う。
あいつがせしめていた金をちょろっともらって、麗に新しい服やら靴やらも用意してやれたし。
固そうなベッドで寝てたから、それも新調できたし。
そのベッドがだいぶ気に入ったみたいで『よく寝れた……』と翌日お礼を言った麗に、なんかもっと色々してやりたくなって、ケーキを持ってきたらそれがすげーお気に召したらしく。
気のせいかほころんだ顔してじっくりと味わうように食べる麗を思い出すと顔がニヤけそうになる。あの時絶対花飛んでた。
それ以降、麗への手土産は必ずケーキだ。
だからまぁ、あいつを思い出してカッとなる事はあるけど、麗との日常のおかげで抑えこめていた。
「はい、ケーキ」
そう言って差し出すと、ぱぁあっと瞳の色を明るくする麗に、思わず笑う。