○○するお話【中編つめあわせ】
「ごめんね、お待たせ」
恭くんがリビングにきてから五分くらい。
出来上がったものをテーブルの上に並べていると、ソファに座って仕事の書類に目を通していた恭くんが腰を上げて、ダイニングテーブルの椅子に座る。
「今日ね、かぼちゃが安かったから、煮物作ったんだよ」
「恭くん、好きだったよね?」と笑顔で聞いたら、「ああ」って返事は返ってきたけど。
視線は、書類に向いたままだった。
でも、ここ最近は仕事が本当に忙しいみたいだから、仕方ない事だよねって自分に言い聞かせるように思う。
仕事頑張ってる恭くんは、カッコいいし、それに……書類見るのやめて、なんて事は言えないし。
何か、恭くんが好きそうな話題話題……。
「あ、あのね、今日夕方、喫煙室で恭くんが田坂さんと話してるの見て……」
そう言いかけてから、どう言えばいいだろうと迷う。
私はただふたりが話してるのを見ただけで……見たからって、何を言いたかったんだろうって声が止まってしまった。
楽しそうにしてる恭くんを見たのが久しぶりで。
だから、何を話して笑ったのかが知りたいなって思った。
私も、あんな風に笑いかけて欲しかったから。
でも……話の内容を聞いたところで、私は田坂さんみたいに上手に話せないし、第一、営業の仕事の話だったりしたら分からない。
だから……例え聞いたところで、私には無理だ。
そんな風に思ったら何も言えなくなって。黙って、かぼちゃの煮物を食べる。