○○するお話【中編つめあわせ】


「カイジさんが猫拾ってきて飼いたいってアキラさんの前で騒いでひかれたところまでです」
「あー、そうだったな」

麗はきっと過去の話はしたがらないだろうからと、始めた俺の話。
人間よりもだいぶ長い寿命のおかげで話は思い出すのも面倒なくらいにあるから、話題には困らなかった。

俺の話を麗はいつもやっぱり無表情で聞いているけれど、興味がないわけではないらしい。
相槌を打ったり、たまに聞いてきたりと、返ってくるリアクションは少しずつ増えていてそれが嬉しい。

初めての質問は二週間前で、確か『アキラさんって誰ですか?』って疑問だった。
それを思い出し……アキラがいつか言っていた言葉が脳裏に蘇った。

『ねぇ、カイ。吸血鬼が必要以上に人間に近づかない理由、分かってるよね?』

吸血鬼が必要以上に人間に近づかないのは、恋情を抱かないため。

『吸血鬼にだって感情はあるからね』

恋に堕ちた吸血鬼は、そいつ以外の血を受け付けなくなりいずれ滅びる。

『まぁ、カイが違うって言うんなら、俺はそれでいいけど』

……今、同じ事を聞かれたら。
俺はあの時のように違うと言えるだろうか。

『ただカイは吸血鬼なのに面倒見が良すぎるところがあるから気になっただけ』

無表情の中に潜む感情にいちいちおおげさなほど一喜一憂している自分は。
お揃いのマグカップを使ってくれている様子に、ケーキを喜んでくれている様子に。毎日ノックもそこそこにドアを開ける自分を分かりにくいけど好意的に受け入れてくれている様子に。
そんな些細な事に毎日新鮮に喜びを感じている自分は。

〝面倒見がいい〟
果たしてそんな言葉に収まるのだろうか。


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