○○するお話【中編つめあわせ】



身体の異変に気付いたのは、それから半月が過ぎた頃だった。
昔から勘がよく頭も悪くない。だから周りの事でも自分の事でも、たいていの事はすぐにどういう事なのか説明がつけられた。
それは、長く生きているからだと言えばそうだし、生まれつきと言えばそうで、吸血鬼だからというのもそうなんだろう。

だから。身体に変化がある前からなんとなく、ああこうなるんじゃねーかなって予感みたいなものはあった。
しかも結構前から。

理由もちゃんと分かっていたし、それに途中から気づき、頭のいい俺はそこからの回避ももちろん考えた。
気付いたら手遅れだった、なんてそんなのは人間の専売特許であって吸血鬼はそこまで愚かじゃない。

だからこれは……俺自らが選んだ答えだった。


「……カイジさん。カイジさん?」

麗の声にハッとして目を開けると、俺を覗き込む明るい色の瞳と目が合った。
視線だけ動かして周りを確認し、ここが麗の屋敷の中庭だと気づく。小さな薔薇のアーチに、いくつかの白いベンチに、テーブルと椅子が二脚。
レンガ調の高い塀で囲まれているのは、最初こそ、麗を逃がさないためだったんだろうが、今となっては目隠しとして役立っている。

俺はベンチの一つに仰向けになって寝ていて……信じられない事に、麗の太腿が頭に下にあるもんだから、眠気が冷めて能が一気に興奮状態になる。
だけどそんな下心がバレたら即この幸せな時間は終わってしまうという事は分かっているから、気付いていない振りをした。そりゃもう必死に。麗は嘘に鋭いから。

天気がいいから外で食べるかと麗を中庭に誘い出したくせに、ケーキをひとつ食べ終えたら眠気に襲われて……多分そのまま寝たんだろう。
麗を放っておいてしまった事を反省して苦笑いをもらす。


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