○○するお話【中編つめあわせ】
「あーごめん。どれくらい寝てた?」
「一時間くらいです」
「えっ、そんなに? 起こしてくれたらよかったのに」
この中庭には何か物珍しいモノがあるわけでもないし、俺の寝顔見てたって麗は暇だっただろうに。
だからまさか一時間もただそこで待っていてくれたのかと思うと申し訳なさが襲う。
けれど麗は「……別に」と不貞腐れた顔をした。
頬がわずかだが赤い。これは多分、照れ隠しの時の顔だ。
「いつも騒がしいカイジさんが、寝ていると静かで……見ていてそう飽きるものでもなかったので」
「いや、寝てる時まで騒がしかったら怖くね? つーか……えー、一時間も眺められてたとかさすがに照れるわー」
「大丈夫ですよ。私の一時間なんて、カイジさんたちにとっては一秒だとかそれくらいでしょ?」
まぁ、生きられる寿命を考えればそうだけど。でもなんか違う。
「俺も麗ちゃんの寝顔見たい」
「夜中に勝手に忍び込んでるのを私が知らないとでも思ってるんですか?」
「えっ、バレてたの?!」
「なんとなく夜誰かの気配を感じる気がして、そんな事するのはカイジさんくらいだから、ちょっとした仕掛けを作っておいたんです。
夜中に入り込むとしたら私の部屋の窓からだろうと思って、寝る前に窓に小さな紙を一枚挟んでおいたら結構な頻度で床に落ちてるのでそれで分かります」
「昨日の夜も来たでしょう」と言う麗から、笑いながら目を逸らす。