○○するお話【中編つめあわせ】
随分長い間生きてきたっていうのに、たった一ヶ月半の出来事にすべてを奪われるのかと思うと、あんまりだなとも思ったけれど。
その一ヶ月半の思い出があまりに温かくキラキラと輝いているから、悪くねーなと思う。
死期が近づいているのは自分でも分かる。あがいて、もっと麗と一緒にいたくて、他の人間の血が吸えないなんて一人目で分かってたのに、でも理解したくなくて、必要以上の人間に咬みつき記憶操作で血を失ってしまったから。
自分が一体、どんな死に際を迎えるのかなんて考えた事もなかったけれど。
まぁ……思っていたよりは悪くはないのかもしれない。
「どうするもなにも、もう道はひとつだろ。例え麗の血を吸いつくしたところで、俺はどうせその後誰の血も吸えずに滅びる。
だったら……俺は麗を守る」
「……吸血鬼様が、人間なんかを?」
俺の答えをアキラはもう分かっていたんだろう。
それでも確認するようにそう聞いてきたアキラに。
「一度、ヒーローになってみたかったんだよな。それが麗のヒーローになれるんだから他に望むもんなんかないだろ」
そう言って、笑ってみせた。
死を悟って尚、麗を想う俺を。
神が知ったら呆れるのだろうか。
死ぬぎりぎりまでの時間を、麗と過ごしたいなんて思う俺をバカだと吐き捨てるのだろうか。
――上等だ。