○○するお話【中編つめあわせ】
カイジさんが体調を崩しているのは気付いていたし、その過程だって分かっていた。
カイジさんはずっとどこかおかしかったから。
必死に隠してはいたんだと思うけれど……カイジさんと過ごす毎日の中で、カイジさんがどんな人なのかは私なりに理解してきたつもりだ。
だから……カイジさんのどの言葉が本当で嘘かくらい、分かってるつもりだ。
『麗、離せ』
低く地を這うような声で怖がらせたのが、私の為だって事も。
『麗、幸せに……』
言いかけた言葉が、嘘じゃなかった事も。
『麗ちゃん』
私を呼ぶ声が、いつだって優しさに溢れていた事も。
全部知っていた。
そういうものを感じる気持ちを、カイジさんが教えてくれたから――。
カタン、という物音にハッとし目を覚ます。
窓の開く音だという事はすぐに理解できたから、上半身を起こし窓を確認して……息を呑んだ。
挟んでおいた紙が、入り込んできた外気にひらひらと煽られながら落ちていく。
時間が分からないけど、まだ深い時間なんだろうっていうのは、空の暗さで分かった。